歌枕直美 友の会

うたまくら草子
歌枕直美の心から語りたい
vol.13 菅沼 登

和歌劇「額田姫王」のご依頼主であり、脚本をお書きになった菅沼登氏にご登場いただきました。

■メールは危ない…

歌枕直美:新しい舞台をつくるチャンスをありがとうございます。突然メールで「脚本」が届いた時は驚きました。メールは、お顔も見えませんし、年齢、職業すべてわかりませんから、はじめは冗談 かと思いました(笑)。

菅沼登氏(以下敬称略)普通はそうかもしれませんね(笑)。古代史の謎を探るのが趣味でちょうど万葉集を調べようとしていた時、一昨年でしたか、静岡新聞に掲載された歌枕さんの記事を興味深く読みました。そして、すぐにCDを購入し音楽を聴いたら、ストーリーが浮かんできたんですよ。

歌枕:今までに「脚本」を書かれた事はあったのですか?

菅沼:いいえ、ありません。日本語のオペラがあればいいなと思っていましたが、まさか自分で「脚本」を書くなんて、全く思ってもいなかったですね。でも、「三輪山」と「防人の歌」を聴いたとき、何かがつながったのですね。これは、自分が書かなければと…。(笑)

歌枕:なるほど(笑)。綱澤僚さんとの出会いもよく似ていました。私の声を聴いて下さって。二時間で「三輪山」の曲が生まれたそうです。その「三輪山」の曲から直感をえて脚本が出来てしまったのですから「やっぱり…。」という感もあります。
■再生・復活!

菅沼:これまで古代史の勉強をしていて、縄文時代の伝統がアイヌ民族の風習の中に受け継がれているのではないかと思っていまして、それと万葉集の中にでてくる歌に共通点があればと比べてみました。

歌枕:何か共通点はありましたでしょうか。

菅沼:ありますね。例えば、木、木の葉、山、風などに「魂・神」が宿ると信じることや、また、全てのものは、神から与えられたものであるから大切に使い、寿命がきたら壊すと同時に祈祷し魂を天に送り戻す。そうすれば、再び人間の世界へ戻ってくるという考えをもっていました。

歌枕:「循環の思想」ですね。現代人は、何でも永遠に続いていくような錯覚をもっていますね。

菅沼:それと脚本を書いていく中で、万葉集に書かれている生活・生き方が昔の人の「思想・一種の宗教」だとわかりました。また、それは現在でも価値があると思います。

歌枕:今回の「脚本」では、風習などがよくわかる万葉歌を選ばれていて、とても新鮮に感じました。

菅沼:白村江の戦いで敗れ、その後唐の風習と仏教を取り入れ、漢詩を作る習慣が入ってきたことで、和歌を作ることは一旦衰退しますが、その百年後に古今和歌集という形で復活しています。すべてのものは、生まれ、滅び、再生と歴史の中で繰り返しています。

歌枕:再生・復活!いいですね。
日本人は、海外からの文化を柔軟に取り入れ、それを自国のものと融合し独自の文化を創り出していく力をもっていると思います。
■世界へ発信

菅沼:今回の作品は、西洋と東洋を融合させた創作ユニット《歌枕》の新しい音楽で、日本の魂・源流をさぐる芸術舞台になればと願っています。現代の歌姫に期待を致しております。

歌枕:ありがとうございます。十月の公演にむけて、素晴らしい舞台をつくれるよう、精神誠意をもって創作に取り組むことを誓います!(笑)

菅沼:宜しくお願いします。また、海外発信もしたいと考えています。一三〇〇年前にこんな文化が日本にはあったことを、世界へむけて自慢したいですし、海外に在住の日本人の方にこの作品を通してエールを送りたいと考えています。その時は、歌枕さんご協力願えますか。

歌枕:はい喜んでお引き受けさせて頂きます。日本人の誇りを持って、音楽にのせて自国の歴史・文化・風習を世界へ発信することは私にとっても大きな夢です。制作はまだまだ続きますけれども、どうぞ宜しくお願いいたします。本日は、ありがとうございました。


菅沼 登 (すがぬま のぼる)

医学博士

昭和34年静岡県生まれ。

昭和59年 富山医科薬科大学卒業・勤務医を経て

平成6年 菅沼内科消化器科医院勤務