歌枕直美 友の会

うたまくら草子
歌枕直美の心から語りたい
vol.11 加藤 輝雄

陶芸家の加藤輝雄先生の滋賀県の山村にある工房をお尋ねし、空気がおいしく風が心地よい環境の中で、貴重なお話をお聞かせ頂きました。


■見たことがない「かたちの美」

歌枕直美(以下歌枕)先生とはじめてお会いしてから、もう十五年になります。

加藤輝雄氏(以下敬称略)もうそんなになりますかね。第一印象「この子は、いい子だな」と思いました。

歌枕:「いい子」の時代がなつかしいです。(笑)

加藤:でも、こんなに多方面の才能をもたれていることまでは、わからなかったですね。(笑)

歌枕:先生の焼き物は京焼きと呼ぶのでしょうか。

加藤:清水で育ちましたので「京焼き」なのですが、僕の作品はどの焼き物にも属さない自分の焼き物なんです。

歌枕:最初に先生の作品を拝見した時、今まで見たことのない「かたちの美」と「品格」に驚きました。その時の自分自身には少し距離のあるものだったのですが、背伸びしても身近に置かせていただいて、普通に使いこなせるようになりたいと思いました。

加藤:そうですか、それは嬉しいですね。焼き物は飾るものではなくて、使ってもらうことが大切だと思っています。

歌枕:今は年を経て距離がなくなりいろんな形で先生の器を使わせていただいてます。

■共通点有り?

加藤:直美さんとは共通しているものがいっぱいあると思っています。

歌枕:頑固なところですか?

加藤:(笑)。

歌枕:ところで先生の焼き物づくりの背景とは何だったのでしょうか。

加藤:若い頃、美術館で美術品の出し入れの手伝いなどをして重要美術品などを手にもたせてもらいました。だから視角だけでなく触覚でも感じることができました。それは、とてもありがたかった。すべては、感覚ですから。

歌枕:視角、触覚…本物に触れ、感覚で学ぶことが重要なのですね。

加藤:最終目標は白磁で品格があって、誰でも創れそうで創れないものを創っていきたいと思います。

歌枕:「白」を生涯の目標とされる先生の確固たる姿に、原点を見失わない本物の生き方を感じます。

加藤:ずっと確固たる気持ちで来たのではなくて、ずっと揺れながらきました。(笑) でも、やっぱり自分の形で行こうと思い、自分の創りたい物を創るのが一番いいこととしてやってきました。
■心落ちつく世界

歌枕:以前、先生は気持ちが落ち込んだときには、奈良へ行かれるとお伺いしたのですが。

加藤:はい、奈良のお寺は、京都と違って瓦の線に無理がなく、雄大で、見ていると心が落ち着きます。

歌枕:私も最近になってですが発見しました。瓦の線がこんなに美しいものなのかと。「線」からも心が落ちつく世界があるのですね。

加藤:直美さんの歌も落ちつきますよ。仕事をしながらずっと聴いていられます。自然にメロディーが心に入り込んでくる、さわやかなのはなにものにもかえがたい。こういうものを、一人でも多くの人に聴いてもらいたいと思っています。

歌枕:ありがとうございます。

加藤:いつか奈良の「依水園」などで聴かせていただきたいですね。東大寺の南大門、若草山や三笠山を借景にしての直美さんのコンサートはぴったりですよ。

歌枕:素敵ですね。では現実化にむけて御協力よろしくお願いします。(笑)
今日も、有意義なお話をありがとうございました。


*依水園でのコンサート実現! 2002年9月、2003年9月と2回開催させて頂きました。

加藤 輝雄 (かとう てるお)

1938年瀬戸十作の治兵衛より13代目の陶芸家、篆刻家、加藤紫山の三男として、京都市に生まれる。関西美術院に学びながら陶磁器訓練校と工芸指導所を卒業後、父紫山のもとで作陶を始める。

1985年紫山窯より独立。修学院に紫岳窯を築く。

1986年~1990年無名舎(京都)に於いて毎年個展。

1989年西武百貨店(東京池袋)に於いて個展。

1991年滋賀県土山町鮎河に工房を開く。

1991年~2000年京都清水寺本坊・成就院に於いて毎年個展。

1991年~1998年・2000年ギャラリー・島森(鎌倉)に於いて個展。

1997年~2000年文芸春秋画廊ザ・セラー(東京・銀座)に於いて毎年個展。

1998年京都文化博物館に於いて個展。