和歌劇作品紹介

「古事記うたものがたり~神代の巻~
脚本:菅沼 登
音楽:歌枕 直美
― あらすじ ―

遠い昔、金属の武器を持った人々が、海を越えて日本列島に渡ってきた。その先駆けであったイザナミとイザナギの二人の神は三人の子を設け、姉のアマテラスには天の国を治めよ、次弟のツクヨミには夜の世界を治めよ、末弟のスサノヲには海の上を治めよと言い残し、二人の神は この世を去った。ところが、スサノヲはそれに従わず、姉 アマテラスのいるアメの国に行って乱暴狼藉を働いた。それに心を痛めたアマテラスが岩屋の中に閉じこもってしまったため、世界は暗闇に包まれた。アメの国の神々は、アマテラスが隠れた岩屋の前で宴を開き、大声で笑うことにより、アマテラスを外に出すことが出来た。その罪により、天の国から追放されたスサノヲは、出雲の国なる緋の川を遡った所で、大蛇・八俣のヲロチを退治するという功績をあげ、その地の領主になった。
 
出雲の国に、オオナムチという少年がいた。少年の兄たちは、因幡の国のヤガミ姫という麗しい女性に求婚するため、オオナムチを荷物運びとして連れて、出掛けて行った。ところがヤガミ姫は配偶者としてオオナムチを指名したので、怒った兄たちはオオナムチに瀕死の重傷をおわせた。その傷を治したオオナムチの母は、オオナムチを鍛え直してもらうため、根の国に隠居しているスサノヲの許に送りとどけた。スサノヲの御殿に着いたオオナムチは、スサノヲの娘のスセリ姫と恋に落ちたが、スサノヲは果たしてオオナムチが スセリ姫に相応しい男かどうかを試すため、オオナムチに幾つかの試練を与えた。その試練を乗り越えたオオナムチは、スセリ姫と共に故郷に戻ると、優れた製鉄の技術を編み出し、出雲を稔り豊かな国にした。
 
出雲の国の主となったオオナムチは、更にその版図を広げるため、東の方に進出した。翡翠の玉を産出する越の国の女王・ヌナカワ姫の宮殿に着いたオオナムチは、自らの国の作法に従い、深夜 ヌナカワ姫の部屋に入ろうとしたが拒否されたため、彼は怒りの歌を歌った。一方、遠い昔から出雲の国と覇権を争っていた越の国には、古い伝統があった。その女王・ヌナカワ姫は、洗練された鉄の武器を持って進出してきたオオナムチに対し、例え武力では叶わなくても、自分たちの伝統には従わせようとした。彼女はオオナムチの求婚に対し、越の国には 新婚初夜に夫婦は床を共にしてはいけないという作法があるので、明日の夜まで待つ様にと歌で答えた。この様にして、オオナムチが日本中を巡り歩き、鉄の道具を作る技術を教えて廻ったお陰で、人々は、お米という安定した食物を得ることが出来る様になった。



― 感 想 ―

☆古事記を自分で勉強していましたが、大黒様の名前がなぜいくつもあるのかなど疑問に思っていましたが、今日の和歌劇でいろいろよくわかりました。
★とても素晴らしかったです。日本の文化を、古事記の世界を歌枕さんの音楽を通して、世界に伝えてほしいです。
☆はじめて聴かせていただき、こんな世界があるのかと本当に感動しました。これからずっと応援します。
 

― 公演実績 ―
登録商標について:「和歌劇」は株式会社うたまくらの登録商標です。