うたまくら所蔵楽器

時代を越えて奏で続ける楽器たち。
これらのピアノの前身の楽器は、通常博物館などに展示されるくらい貴重な楽器ですが
うたまくらでは「時代を語るピアノの響きコンサート」で実際に音を体感することができます。
 

 

クラヴィコード

ARNOLD.DOLMETSCH
アーノルド・ドルメッチ 1949年製

 
13世紀から19世紀初頭まで使用されていたクラヴィコード。
バッハが大変好んでいました。
チェンバロ同様、ピアノの発明により忘れ去れていきました。
しかし、工業化・大量生産という時代の流れとともに手作りの音楽の魂が失われていくのを嘆き、古い時代の音楽の演奏法や楽器の復興に一生を捧げた人にイギリス人のアーノルド・ドルメッチがいます。
彼が「魂をもった楽器」としてその復興に力を注いだのがクラヴィコードでした。
そのクラヴィコードがうたまくら茶論にあります。 
 

 

チェンバロ

SPERRHAKE
シュペアハッケ 1960年製

 
チェンバロと言っても、時代や地域によってその姿や音色は様々です。
17世紀から18世紀に全盛を迎え、多くの貴族が使用していました。
しかし、ピアノの出現によってこの世から消え去っていくのです。
戦後古楽の復興によりチェンバロが見直され、
いろんなコンサートでも使われるようになりました。
うたまくらにあるのは一般家庭用の小さなスピネットタイプです。
 

 

フォルテピアノ

J.C.NEUPERT Hammerflugel
ノイペルト製造 シュタインモデル 1935年製

 
ロマンティックな国民性をもつドイツでは、18世紀になるとクラヴィコードの弱音による繊細な感情表現が偏愛されました。
南ドイツのシュタインは、イタリアのクリストフォリの完成したピアノの機構に手を加え、ウィーン式アクションと呼ばれる画期的なアイデアでクラヴィコードに匹敵する繊細な表現力とダイナミックスを兼ね備えたピアノを生み出しました。その響きは、チェンバロとも現代のピアノとも異なった独特のものです。
ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンを熱中させたシュタインのピアノがノイペルト社によって復元されました。 
 

 

アップライトピアノ

C.BECHSHTEIN Palisandae
ベヒシュタイン パリサンダー 1889年製

 
うたまくら茶論の1889年製のベヒシュタイン(アップライトピアノ)は、ドイツの音楽の黄金時代の響きを伝える貴重な楽器です。
現代のピアノの原点がここにあります。
寄木細工の美しい装飾にも目を奪われますが、130年以上を経ていまだ健在のベヒシュタイン独特の高貴な音色は、一瞬にして聴き手を「古き良き時代」へと誘い出します。
 

 

グランドピアノ

TALLONE
タローネ 1981年製

  
知る人ぞ知る、イタリアの調律師「タローネ」。ピアニスト“ミケランジェリ”などを担当して最初のヤマハのフルコンサートを作るために来日したことでも有名です。彼が目指す音作りを、ピアノ作りとして実現しました。150年以上経った木材しか使わないというこだわりの中で、11台手作りで生まれたピアノ。
タローネはミケランジェリと共に各地のコンサートに同行し、彼のピアノ調整に対する繊細な要求に常に応えました。また、各国のピアノメーカーにも呼ばれ、ピアノ製作の助言なども行いました。タローネが亡くなる1年前に作られたピアノで、製造番号が421。生涯500台と作られていない中の1台。