セミナーレポート

「pp ピアノの音 ff フォルテの音の秘密」

大きい音、小さい音が出る事が最大の特徴であるピアノ。ではなぜ大きい音、出せるのでしょう?小さい音が出せるのでしょう?ハンマーの基礎を改めて知るためにハンマーの素材羊毛ではないハンマーを作りました。またかなり消耗しているハンマー、新品ハンマー、針が入りすぎているハンマーなどいろんな条件でどのようにpp ff音が出るのか、追求したいと思います。そして改めて現在のピアノのハンマーによって出される音、そのからくりと演奏法の秘密に迫ります。

■ピアノの名前の由来

1709年イタリア、フィレンツェでピアノが生まれたのは有名です。そのときにつけられた名前が
clavicembaro col piano e forte
クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ
チェンバロのような楽器で弱い音と強い音が出る楽器。長い名前でした。

 
 
 

■強弱とはどういうこと?

グロッケンで試しました。弱い音、強い音を出すときはどのようにしますか。
弱い音のときはゆっくりバチで叩きます。
強い音はすばやく振り下ろします。

■つまり、、、

スピード。
ピアノではそのコントロールを鍵盤で行います。しかも鍵盤の動きの1cmという中でのコントロールです。でもピアノのアクションの中ではハンマーが弦を叩くまでの距離は約5cm。つまり5倍の力、スピードが発生します。

■なぜフェルトなの

時代と主に部品も変化してきました。なぜ弦を叩くものはフェルトなのでしょうか。フェルトでもいろんな状況があるのでそれを同感じてコントロールできるか。でもその前に良い状態のものを知る必要があります。

 

■pp,ff

ピアノは時代と共に大ホールで響くように大きく、大音量になってきました。でも人間の感性は大きい音ほど遠ざけてしまい、小さい音ほど集中して聞き耳を立てます。そのppでの音色の変化が大きく音楽を語ってくれると思います。
 

■指で聴く、耳で感じる

ピアノのそれぞれの基準を見つける、意外と簡単なことかもしれません。そういう視点になれるように響きを感じるように弾いてください。きっと素晴らしい音楽が生まれてくると思います。

お越しいただいた方から感想をいただきました。

今では、だれもが知っているピアノの音、その音の最初を決定づけるのが、フェルトを巻きつけたハンマーで、ミュージックワイヤーを叩くという事を フェルト以外の様々な材質を使って、実験してくださることによって 楽しく、わかりやすく理解することができました。 フェルトハンマーで弦を叩くことによってし かピアノのあの音は出ない。そしてそのハンマーの質、メンテナンスの状態によって あの音が美しい音になるのか そうでない音になるのかが決まってしまうという事がわかりました。これからピアノに触れる時は そうした事も感じながら弾いてみることにします。ありがとうございました。(A.K)
 
28日は大変貴重な体験をさせていただきありがとうございました。普段は絶対ありえない木やゴムのハンマーがどのような音を奏でるのか。又フェルトの状態によって音がどのように変化するのか。頭では想像できるものの、実際の音を体感するとより音に敏感になりました。子供さんがピアニシモで上手に音の調整をして弾かれる姿にも感動し、これこそ重要なポイントだと実感しました。普段レッスンで『やさしく弾きましょう』とか『ピアニシモで』とは言うものの、体感しないとその音は出ないことも確認しました。アクションの仕組みや鍵盤を下げる際のハンマーの動き等、目と耳で確認する事によってより繊細なタッチが可能になります。これは絶対自身が体験し、生徒さんに伝えないといけないことです。それなのにある程度専門的にピアノを演奏される方々が最も分かっていないことのようにも思えました。なぜかというとこの私自身が長年知らなかった事がたくさんあるからです。ピアノを鳴らすこと=フォルテで叩くこと だと思っていたからです。同じくピアノを指導される先生方に是非体験していただきたい内容でした。(C.S)
 
今日のセミナーはとても面白かったです。ハンマーの素材が、木やゴムとか、湿気でふやけたハンマーとかで音を出してみると、くぐもった音や、チェンバロに似た音などが出たのでおどろきました。ピアノのはじめの名前が、「チェンバロのような 弱い音 強い音」という事も初めて知りました。チェンバロは強弱が効かない事は考えもしなかったので、今日のセミナーで初めて気がつきました。鍵盤のたたき具合で弦のたたかれる強さがわかりました。手が痛かったです.。グランドピアノのアクションモデルを見たとき、あんなに複雑になっていて、驚きました。もっと簡単な仕組みでできているのかと思いました。次のセミナーも楽しみにしています。(K.A 小5)
 
今回フェルトを使っての実験、実際に音の聞き比べを体感し改めて、音を作るという意味までフェルトの存在が重要だということを知りました。部品の状態、そしてそれを整えるための環境、そして弾き手がいかに一音ずつの打鍵を繊細に1cmの鍵盤の動きで表現できるか。レッスンをさせていただく上で、単にpp,ffではなく音を感じて弾き方、タッチなどを考えて表現できるように伝えていくことができたらと思います。(Y.S)